前・東大総長にして、現・三菱総研理事長の小宮山宏氏が提唱する「自立国債」に、いたく感銘を受けた。自立国債とは、エコ目的に使うために、国がある事業(ソーラー発電など)に投資するために国債を発行して、その事業によって得られる利潤により償還するというシステムだ。
裏を返せば、瞬間風速的な景気対策のためのバラまきではなく、将来への投資にもなるような事業を創造し、無理なく償還できた方が国も国民も幸せなのではないか、ということになる。さらにこのシステムが確立されれば、海外にも普及させ、ハード、ソフト両面のセットでの地球貢献(温暖化対策)もできるし、モノづくりニッポンの面目躍如ではないか、と、まことにいいことずくめの提唱。
こちとら凡人だから、こんなレベルの高い発想は一生無理なことだけど、以前からEV(電気自動車)の普及に関してシロウトなりに思い描いた世界がある。
それは、EVならば使用エネルギーを自己完結できる、夢のような世界が開けるのではないか、というリアル・ファンタジーだ。
自家発電とEV
EVは現時点では車種も少ないし、補助はあったとしても価格の問題、航続距離の問題、動力源であるバッテリーの技術、処理の問題、充電スタンドなどインフラの問題など、抱える課題は少なくないが、7月に予定されている三菱アイミーブの登場で、間違いなくある種のムーブメントは起きるものと確信している。
EVへの大方の見方は、ガソリンを使わないからエコノミーでエコロジー、モーター音だけだから静かなど、イメージとしては好意的に見られている。
が、ここで言いたいのは冒頭で述べた可能性を含めた、できる限り化石燃料に依存せず、なおかつそのエネルギー源をユーザー自身が生み出せる仕組みの妙味だ。
ソーラー発電(太陽光発電)については、発電量と技術面では不安材料は見当たらない。が、コスト面での課題が途上にあり、単純計算は難しいが、現時点ではおおよそ従来の電気代の数倍と言われている。
もちろん、国策として売電も含めた新たなシステムを確立することで、計算や負担額は劇的に変わるはずだから、一概にコストを述べるのは尚早だろう。
理論上は、太陽光の威力は絶大で、世界の消費量の50倍というエネルギーを持ち、仮にゴビ砂漠にソーラーを敷き詰めると、全人類のエネルギー需要量に匹敵するエネルギーを発生すると言われている。
端的には、ソーラーなどの自家発電に各家庭が容易にエントリーすることで、日々の電気使用はもちろん、トランスポーターであるクルマの動力源も自己完結できる仕組みが、現実性を帯び、夢物語ではなくなってきたのではないか、ということだ。
これまでの常識は、クルマは化石燃料で走るもの、だからガソリンスタンドに張られた料金表示に一喜一憂したり、WTIによる先物取引で原油価格が決定される不安定さにも不快感を覚えてきた。
自己完結型のソーラー+EVのシステムがどんどんシンプル化して普及すれば、そういう心配は一切しないで済むことになる。
もちろん、エネルギー全体を考えれば課題は少なくないし、EV自体にも課題は山積している。何よりも利用者であるユーザーに与える安心感や信頼性こそ喫緊のテーマでることは間違いない。
でも、このような自己完結型のエネルギー生活。果たして想像するだけで楽しくなっちゃうのは私だけでしょうか。
次回は、日本と世界のEVを全部紹介する予定です。
2009.04.16記
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富士重工のプラグインステラは、環境省に15台提供。以後、神奈川県、大阪府の
地方自治体、日本郵政に貸与。09年度に170台、10年度には200台程度の販売を
見込んでいる。写真はプロトタイプ。
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No.002 エコカー普及に異論はないけれど・・・・
長時間にわたり電力会社と提携して実走試験を繰り返してきた「三菱アイミーブ」。この夏、ついにデビューを果たす。充電設備インフラなど周辺環境の普及にも期待がかかる。
今年4月から施行されたエコカー減税など、エコカーの普及を施策として減税措置にまで踏み切った政府の対応は、大方の国民から好意的な目で見られている。ご存じのように、そのクルマの「エコ度」によって、100%、75%、50%といった具合に取得税と重量税を減免するという景気刺激策というか、買い替え促進策だ。
100%減免車は、トヨタ、ホンダのハイブリッド車、日産エクストレイルのクリーンディーゼル車、7月にデビュー予定の三菱アイミーブEV車が対象になる。
やはり人の情というものは、10数万円から、高額車両になれば20数万円の減税恩恵は魅力的には違いなく、間違いなく普及(購入)のけん引になることでしょう。そこはいい。
ただしだ。この法律はいわゆる時限立法で、有効期限は3年間(平成24年4月30日まで)という期限付きであるところがミソなのだ。
言い換えれば、「この3年間のうちに新車に買い替えないと損でっせー!」という風に見えなくもない。なんか1000円で高速道路乗り放題(近々に報告します)とそっくりの構図に思えませんか?
誤解されては困るが、エコカー普及のために何か施策を行うこと自体に異論はない。地デジ同様、刺激策というかインセンティブを付加させることが普及の常道であることは間違いないからだ。
しかし、どうも気になるのが、この施策が現状の税制(仕組み)の中で行われる「その場しのぎ」の感が否めない点なのだ。
時の内閣が、良かれと思うならば、アメリカのグリーン・ニューディール政策やドイツの買い替え補助策(スクラップ・インセンティブと呼ぶ)などをパクることはやぶさかではない。
No.026 バイオがくる! と信じたい
NEDO実用化開発実験により設置されたラント例(月島機械hpより)
最初から言い訳がましくて恐縮だが、今回の提言はあくまで筆者の「そうなったらいいなぁ・・・」という希望的観測に終始することをお許し願いたい。
もとより、当方機械工学は言うに及ばず、バイオ(ここで言うのはバイオマスエタノールのエネルギー。以下バイオと略す)の基本である化学なんぞ、まったくの門外漢であることもお断りしておく。したがって、ここではバイオが日本国内でどのように進捗しているかの検証を主としたい。
バイオエネルギーは基本的にはサトウキビ、とうもろこし、廃木材などのバイオマス資源を発酵し、蒸留して作られる植物性のエチルアルコールのことで、新たな燃料用エネルギーとして注目される。「バイオエタノール製造施設(プラント。小規模でも製造出来ることも実証されている)」で作られたエタノールは、自動車やボイラー等の燃料としての利用とその範囲が期待される。
さらに、Vol.23でも述べているように、バイオに含まれる炭素は植物の光合成によって固定された大気中の二酸化炭素に由来することから、エタノールの燃焼によって二酸化炭素が大気中に放出されても地表に存在する炭素の総量は変化しないと考えられている。つまり、温暖化対策にも寄与できる可能性は大いに高い。
No.006 世界に広がるEVムーブメント
今回は細かい理屈抜き。世界中の潮流になっているEVを、できるだけ紹介してしまおうというもの。*開発中やプロトタイプなど含めると、その数は膨大になる。
通常、自動車は自動車会社が作ることが当たり前となっているが、少なくてもアメリカを見ると、その主体はデトロイトではなく、カリフォルニアのシリコンバレー(もちろん、ベンチャー事業)発祥が少なくない。もしかするとEVは、今までの自動車とはまったく異なる普及や浸透の仕方をするのかもしれないことを暗示しているようだ。
今後は、中国やインドの動向、日産とイスラエルの行方など、国境を越えて世界中で着々とEVへのアプローチ・マグマが胎動してくると見るのが自然と言えるだろう。
当然のことだが、化石燃料の国内自給率がわずか0.1%にすぎない日本にあって、自前でエネルギーを作り出すことが可能な「電気」への期待は、さらに高まっていくだろう。
その大きな引き金になっているのが、世界レベルでの低炭素社会へのアプローチにあることは言うまでもない。
主な内容
会社名(国名)
i-MiEV(アイミーブ)
今年の夏にデビュー予定。三菱アイをベースの4人乗り。最高速度130km/h、1充電160kmと、実用性が高い。