鳩山民主党政権が行った、ちょっと従来とは毛色が違うアクションが、新設された行政刷新会議が主導する国家事業の「事業仕分け」だ。各省の事業を白日の下に晒したという点では、市民の溜飲を下げるということで一定の評価があったらしく、「郵政の社長人事が旧大蔵官僚」、「政治とカネ」、「安全保障政策のブレ」という決して小さくない三重苦を抱えながらも、内閣支持率をほとんど下げなかった要因になっているようだ。
先の総選挙で国民が民主党を勝たせた最大の目的の一つが、「役所のやりたい放題へのメス」であったことは間違いのないところ。しかし、ちょっと待ってほしい。国民が求めていたことの本質は、おそらくそれらに大鉈をふるうことだったのではないか。
「ムダ」とう概念は、人それぞれの価値観や立場によって大きく変わってくる。例えば「ダムがムダ」という文言と「ダムのムダ」、「ムダなダム」では、まったく異なる意味を持つ。
行政やりたい放題インフラの象徴御三家(!?)がダム、道路、空港だが、どれ一つをとってもその整備自体に罪はないし、明確にして壮大な目的があって然るべきものだ。問題はそれらの作り方と選定や動機にある。
事業仕分けをするまでもなく、インフラ整備に際して、その膨大な事業規模に応じて国民には気付かない強大な利権が発生する。だから特別会計の名の下に上記の三大事業は永遠に作り続ける構図が出来上がってしまったわけだ。
大きなムダとは事業自体よりも、それらを当然のこととして巣食う独法やその取り巻きでしょ? だいたいがですねぇ、当初予算が1000億で組まれたとします。で、何年か経つとそれが2倍にも3倍にもなっているなどという試算の現象は、通常の民間企業だったら出入り禁止ものですよ!
鳩山政権が行うべきは、重箱の隅を突付く検証が悪いとは言わないが、やはり望むことは「大鉈をふるう」ことであってほしい。「コンクリートから人へ」という抽象的な美辞麗句から、具体的な実行の時であることは間違いない。
素人の妄言であることは否定しない。
ごく一般的な世間、特に中小零細の企業や個人事業者は日々苦悩の連続であり、あらゆる経費の5割、6割削減が当たり前の状況にある。国家事業の良し悪しやムダかムダでないかを論じるつもりはない。しかし、各省からの概算要求を出させる前に、まず2割なり3割削減! から始まってほしかった。95兆もの概算要求があってからだからゴタゴタするのだ。大鉈をふるうとはそういうことなのだ。
もちろん、それによって責任を取るのは時の政権であることは間違いないが、それくらいの覚悟と気概を持って取り組みなさいよ。そうしないと、どっかの上から目線の政権と何も変わらないから、いつか国民からそっぽを向かれますよ〜。