本稿も始めて1年2ケ月が過ぎました。3日とあけずに更新した時もあれば、1ケ月以上もあけてしまうこともあり、ご購読の皆さまには多大なご迷惑をおかけしておりまして、改めてお詫び申し上げます。
本稿の趣旨はまさにタイトルどおり「(自動車の)変化を考える」ですが、今までの発信内容を振り返ってみますと、「EV(電気自動車)」、「高速道路無料化問題」、「自動車関連施策」、「昔のクルマ」などと個別のテーマはバラエティに富んでおります。が、根底には『自動車と周辺環境の変化、変革』を俯瞰し、自然の流れには逆らわず、新たな展望を検証することで、21世紀初頭のモータリゼーション(最近ではモビリティという表現の方が多いようです)を睨んできました。
日産リーフ: 2010年12月発売予定の日産リーフ。文字通りゼロエミッション100%を標榜する完全なるEV。予約状況も好調で大いに期待できるが、300万円を切る設定と言っても各種補助金をカウントしての話し。1充電当たりの走行距離も160キロということで、充電設備や電池自体のコストなど、普及への道のりの課題は少なくない。
発信側の私めはと申せば、自動車関連の編集者出身とはいえ、技術や運転の専門家でもありませんし、一度たりともモーター・ジャーナリストを標榜したこともありません。ましてや経済アナリストの素養のカケラもございません。
ただ、これだけには自信を持っています。
それは、「流れの掌握」です。ちょっと唐突と思われるかもしれませんが、そうとしか言いようがないのです。
米大統領に初の黒人大統領が就任したのも、半世紀ぶりの日本の政権交代も、トヨタと日産が全く異なる方向性を示していることも、すべては「流れ」ですし、僭越ながら結果は今のところ私の予測どおりになっています。
そこにある最も重要なことは、それを決めているのは「民意」以外の何ものでもないことです。時代が変わったのではなく、モノやコトを決める人の価値観や意識が劇的に変わることで、周囲に変化が起きているのです。
当たり前のことですが、政治も企業も、この民意(政治の場合は市民、国民世論、企業の場合は顧客満足度)を無視すれば、たちどころに破綻することになるのです。
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No.019 ハイブリッド対電気って、・・・・・違うでしょ!?
長期に渡る電力会社との協力で得た実走段階を経て、ついに発売開始となった三菱i-Miev。 当初は法人、官公庁、自治体向けだが、ほどなく一般への販売も予定。いわゆる巨大三菱グループの一員である「リチウムエナジージャパン」や「ローソン」などとの系列連携力も見ものであるが、日本政府の対応にも注目したい。
三菱i-Mievの発売で、大方のメディアのタイトルは「EV、ついに量産」と報道され、やっとEV元年がおとずれたような感じを受ける。確かに何事もきっかけが大事だから、これを機に各社が「環境&節約合戦」に突入することは悪いことではない。事実、富士重工のプラグインステラ、日産のバッテリー交換型EVの発売表明をするなど、にぎやかなのは大いにけっこう。プロダクトの進化とはそんなものだからだ。
ちょっと気になるのは、メディアがどうしても比較したくなる「ハイブリッド対EV」というニュアンスの報道ぶり。どちらの機構も大容量バッテリーを使用しているから、そうしたくなるのは理解できないではない。
端的に言ってしまえば、ハイブリッドは依然として内燃機関(エンジン)を使用しているし、EVは動力源そのものがバッテリー+モーターで内燃機関に依存していない。つまり両車は似て非なるものだと考えるのが順当というところから考えてほしい。
次に価格。ハイブリッドの代表はトヨタ・プリウスとホンダ・インサイトだ。こちらは約200万円前後。方やi-Mievは約460万円。国の補助と神奈川県などEV積極普及自治体だとさらに補助が足されて約300+α万円。前者に補助金はないが、例の時限付きのエコカー減税(もちろん、EVにも適用)がある。一概に両車を比べるのは乱暴だが、価格だけの比較では勝負にならないほど現時点ではハイブリッドの方に分がある。現在ハイブリッドは劇的に売れている。草食化したユーザーの気持ちは実にストレートで正直だ。
さらに申せば、ハイブリッドは既存のインフラで事が足りるが、EVには充電スタンドなど、従来にはないインフラ整備が不可欠となる。そこに需要や雇用創出が期待できるから、重要な意味を持つという考え方もある。
しつこいようだが、ハイブリッドは内燃機関に依存している以上、従来までのメカニズムに新機構を付加した「化石燃料節約型」だ。だから現実的だ、という論調もあるが、別の見方である「過渡的メカニズム」と言えないでもない。
経営再建で、事実上一時国営になったGMのシボレー・ボルトのことを、当初はEVと言っていたが、バッテリー充電用のエンジン(1.4リットルターボ)を搭載しているから、今はプラグイン・ハイブリッドと呼ぶようになっている。
No.026 バイオがくる! と信じたい
NEDO実用化開発実験により設置されたラント例(月島機械hpより)
最初から言い訳がましくて恐縮だが、今回の提言はあくまで筆者の「そうなったらいいなぁ・・・」という希望的観測に終始することをお許し願いたい。
もとより、当方機械工学は言うに及ばず、バイオ(ここで言うのはバイオマスエタノールのエネルギー。以下バイオと略す)の基本である化学なんぞ、まったくの門外漢であることもお断りしておく。したがって、ここではバイオが日本国内でどのように進捗しているかの検証を主としたい。
バイオエネルギーは基本的にはサトウキビ、とうもろこし、廃木材などのバイオマス資源を発酵し、蒸留して作られる植物性のエチルアルコールのことで、新たな燃料用エネルギーとして注目される。「バイオエタノール製造施設(プラント。小規模でも製造出来ることも実証されている)」で作られたエタノールは、自動車やボイラー等の燃料としての利用とその範囲が期待される。
さらに、Vol.23でも述べているように、バイオに含まれる炭素は植物の光合成によって固定された大気中の二酸化炭素に由来することから、エタノールの燃焼によって二酸化炭素が大気中に放出されても地表に存在する炭素の総量は変化しないと考えられている。つまり、温暖化対策にも寄与できる可能性は大いに高い。
No.006 世界に広がるEVムーブメント
今回は細かい理屈抜き。世界中の潮流になっているEVを、できるだけ紹介してしまおうというもの。*開発中やプロトタイプなど含めると、その数は膨大になる。
通常、自動車は自動車会社が作ることが当たり前となっているが、少なくてもアメリカを見ると、その主体はデトロイトではなく、カリフォルニアのシリコンバレー(もちろん、ベンチャー事業)発祥が少なくない。もしかするとEVは、今までの自動車とはまったく異なる普及や浸透の仕方をするのかもしれないことを暗示しているようだ。
今後は、中国やインドの動向、日産とイスラエルの行方など、国境を越えて世界中で着々とEVへのアプローチ・マグマが胎動してくると見るのが自然と言えるだろう。
当然のことだが、化石燃料の国内自給率がわずか0.1%にすぎない日本にあって、自前でエネルギーを作り出すことが可能な「電気」への期待は、さらに高まっていくだろう。
その大きな引き金になっているのが、世界レベルでの低炭素社会へのアプローチにあることは言うまでもない。
主な内容
会社名(国名)
i-MiEV(アイミーブ)
今年の夏にデビュー予定。三菱アイをベースの4人乗り。最高速度130km/h、1充電160kmと、実用性が高い。