No.036 自動車の未来と普天間問題、どこか似ている!?

唐突なタイトルで「なんだ〜?」と思われる方も多いでしょう。
何が言いたいのかと言えば、どちらも目先のことだけに関心がいって、根底の部分がなおざりになっているのでは? というところなのです。
普天間問題に関しては、私のような凡人な門外漢でも容易に分かることがあります。
それは基地がどこにあってその負担(国や地元)はどういうものなのかは確かに重要なことですが、そもそも日本の安全保障はどうあるべきかが最初の論点や検討又は再検討課題であるべきはずで、論点が目標や目的を超えて手段や方法だけに一方的に集中している「順序が逆」状態に矛盾を感じることです。
一連のこの件で、メディアや世論から集中攻撃を受けている鳩山総理ですが、私は一点だけ評価したいことがあります。
結果論かもしれませんが、総理の(軽いと言われている)最低でも県外発言に端を発し、少なくても米軍基地の75%を擁している沖縄の苦悩や抱える問題点が全国規模で間違いなく浸透したことです。このことは大きい。少なくても比較的秘密裏に行ってきた自民党中心政権ではあり得なかったことだと思います。
皮肉なことですが、今回のことでそれが沖縄の問題から日本全体の問題と理解されるようになったことだけは私が評価したい一点なのです。もっともご本人は夢にもそうは思わなかったでしょうが・・・・・。

 

持続可能社会こそ、自動車が生きる最後の道

 

日産 PIVO2   EVだからできることを模索する日産自動車が提案するコンセプトモデル。個体は自動車に違いないが、電気だからできる可能性を最大限に追求している。大切なことは、このような提案を夢物語にとどめるのではなく、どうしたら実現できるかを全方位の視点で実現させる情熱だと思う。



日産の安全運転支援システム。自動車会社が提案する現実的な技術は日産のセーフティ関係だけで19項目にも及ぶ。長い歴史を刻んできた自動車メーカーだからこそ確立できた技術を今後はどう普及させていくかが課題である。このようなきめ細かさはおそらく日本が世界一であるものと確信する。

さて自動車です。
普天間問題に例えれば、移設や県外民意など具体的な懸案は、今の現象面で言えば、EVやプラグインハイブリッドの普及に必要なファクター、エコカー減税や補助金などの施策、高速道路料金の改定・・・・・などいくつかあります。
それぞれは生活者からみれば興味があることは理解できますが、根底の問題とは思えません。
では根底の問題とは何なのでしょう。私はサスティナブル(持続可能社会)に集約できると考えています。
仮にEVの普及で考えて見ましょう。日本では三菱自動車や日産自動車が先駆的な役割を果たしていることは周知のとおりです。いずれも企業ですから、品質と安全・安心、低価格、環境対応にプレゼンを集中させていることは当然のこととして、EVの心臓部と言える電池とモーターを考えれば、実際に大量普及が実現したとして、中長期的には原材料の問題に必ずぶちあたるはずです。
電池で言えばリチウム、モーターで言えばレアアースがそれです。今まで海外に依存していた石油同様にこれらも日本では採れず、前者はチリ、アルゼンチン、中国、後者は中国のみに依存していかねばなりません。
EVの普及は温暖化対策の重要対策の一部ですから、そこでは「持続可能」を実現できますが、それに必要な材料の調達に関してはきわめて不透明なのです。

キーワードは日本らしさの誇示と追求

サスティナブルとはまさに一部だけではまったく機能しないことを指します。
資源に勝る中国が、市場優先でアメリカなどとも手を組んで驚異的なスピードでEVを普及させようとしていることに対し、日本は品質優先策をとっています。それはそれで間違ってはいません。電池一つとっても日本が目指し研究している技術は高度かつ繊細です。おそらくどこの追随を許さぬ真似のできないものでしょう。
が、問題は世界のスピードがとてつもなく早いことです。おそらく日本でも普及のための品質(端的に言えば低コスト、低価格)はできることでしょう。しかし妥協しない高品質体質は世界に誇れるものであり、そこを曲げてまで日本の技術を世に問うことが得策とは思えません。

では、日本が目指すべき自動車のサスティナブルとはいったい何なのでしょうか。
それは、文字通り産官学が一体となってオールジャパンで目指す、自動車の最高の技術付加価値です。自動車単独でも、エレクトロニクス単独でもない、ましてや原材料単独でもないすべての要素をパッケージさせた自動車を媒介とした未来インフラとも言うべき技術と実際の提案です。
その道のりは険しいことはもちろんですが、日本が再び自動車大国と呼ばれ世界をリードしていく最後の手段に思えてなりません。


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No.037 機は熟した! と思っている方たちへの新提案
本稿も始めて1年2ケ月が過ぎました。3日とあけずに更新した時もあれば、1ケ月以上もあけてしまうこともあり、ご購読の皆さまには多大なご迷惑をおかけしておりまして、改めてお詫び申し上げます。 本稿の趣旨はまさにタイトルどおり「(自動車の)変化を考える」ですが、今までの発信内容を振り返ってみますと、「EV(電気自動車)」、「高速道路無料化問題」、「自動車関連施策」、「昔のクルマ」などと個別のテーマはバラエティに富んでおります。が、根底には『自動車と周辺環境の変化、変革』を俯瞰し、自然の流れには逆らわず、新たな展望を検証することで、21世紀初頭のモータリゼーション(最近ではモビリティという表現の方が多いようです)を睨んできました。 日産リーフ: 2010年12月発売予定の日産リーフ。文字通りゼロエミッション100%を標榜する完全なるEV。予約状況も好調で大いに期待できるが、300万円を切る設定と言っても各種補助金をカウントしての話し。1充電当たりの走行距離も160キロということで、充電設備や電池自体のコストなど、普及への道のりの課題は少なくない。 発信側の私めはと申せば、自動車関連の編集者出身とはいえ、技術や運転の専門家でもありませんし、一度たりともモーター・ジャーナリストを標榜したこともありません。ましてや経済アナリストの素養のカケラもございません。 ただ、これだけには自信を持っています。 それは、「流れの掌握」です。ちょっと唐突と思われるかもしれませんが、そうとしか言いようがないのです。 米大統領に初の黒人大統領が就任したのも、半世紀ぶりの日本の政権交代も、トヨタと日産が全く異なる方向性を示していることも、すべては「流れ」ですし、僭越ながら結果は今のところ私の予測どおりになっています。 そこにある最も重要なことは、それを決めているのは「民意」以外の何ものでもないことです。時代が変わったのではなく、モノやコトを決める人の価値観や意識が劇的に変わることで、周囲に変化が起きているのです。 当たり前のことですが、政治も企業も、この民意(政治の場合は市民、国民世論、企業の場合は顧客満足度)を無視すれば、たちどころに破綻することになるのです。 豊田自動織機は、プラグインハイブリッドとEV用の新型充電スタンドを、日東工業株式会社と共同開発し2010年秋に発売する。コンパクトなのはもちろんだがスタイリッシュなデザインも注目されるところだ。携帯電話回線を通じて複数台の充電スタンドがデータセンターと通信することで、充電サービスの利用時間や電力使用量などの利用情報と、充電設備の稼動状況を、データセンターで一元管理することができるという。 EVはまさに何から何までが、これから! 個人的なことですが、私がEV(電気自動車)に注目したのは5年ほど前からになります。「これは流れだ!」と思い、関連報道やリポートをほぼ毎日自分のファイルに集約する作業と並行して、出版数社に「EVをテーマ」にいくつかプレゼン(企画の提案)もしました。が、たった3、4年前なのにすべて見事な門前払い! 第一にEVなんて言葉すら普通の編集者はご存じなかったのです。 その後、やはり「流れ」というものは止まらない証しとして、雑誌やTVが積極的にEVを取り上げるようになりました。ただし、雑誌は経済誌が中心ですし、時期もわずかこの1年ほどのことです。経済誌が積極的な理由はEVをビジネス目線で捉えていまして、多分に経済的価値、つまり政治家が言うところの「成長戦略」に通じる認識を持っているからに他なりません。このテーマの主導的立場であるべき自動車専門誌がこの流れに比較的消極的だったのはきわめて残念と言わざるを得ません。 この流れは衰えることを知らず、GM、日産や三菱、中国企業は言うに及ばず、さらにはトヨタやホンダも、この機をあらゆる側面から捉えていることは間違いありません。 大切なことはこのような大手自動車企業の動向だけでなく、EVに課せられた特色とも言える、「誰にでも与えられるチャンス」ではないかとヨめることです。 すでに、工場を持たずに技術やノウハウだけを売る企業や、既存車両のEVへの改造といった町のファクトリーも名乗りをあげていますし、いくつかの企業が連携して普及啓蒙活動を行う動きも活発化しています。 もはや、自動車でありながらその主導を自動車メーカーだけが行うのではない、という構図にも今までとは違う「流れ」が感じられるのです。 さて、それほどかように今最も「ニュースに溢れている」EVというものを、どう捉えるのが「真の流れ」なのかをずっと考えてきました。 ハードの問題、インフラの問題、安全性の問題、経費、コストの問題、もちろん環境の問題やユーザーの満足感などなど・・・・・。 で、案ずるより生むが易しこそネットサイトの最大特徴と考え、何はともあれ近々に当サイトより「EVみらい研究所」を発信いたすことと相成りました。 現在鋭意準備中ですので、ぜひともご期待ください。 ついに価格を4万1000ドル(補助金などを含まず)と公表したGMシボレー・ボルト。自社のキャディラックの一部車種よりも高い設定だが、今後の展開に注目。当初はEVとして位置づけられたが、構造としてはプラグインハイブリッドになる。ただし、走るための動力は電気(モーター)であり、エンジンはバッテリーへの充電のための補助装置。走行距離が500キロを超える理由はそこにある。   パシフィコ横浜で7月14日から開催された「電気自動車開発技術展(EVEX)2010」は、EVの技術に特化した展示会としては国内初。写真は日本でもお馴染みのBMW MINI E。一見すると普通のMINIだが、まぎれもなくEV。このような人気モデルのEVが普及に貢献することは間違いない。      
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No.029 クルマはどこへ向かうのか
  市販のEV初となるCセグメントボディの「リーフ」。軽自動車の三菱i-Miev、富士重工のプラグイン・ステラとともに話題と実用性を高め、今後のEV普及の鍵を握っていくことになるだろう。忘れてならないのは、オートEVジャパンやゼロスポーツといった大規模ではないが、長くEVと取り組んでいるメーカーの存在だ。EVに関しては規模の大小に関わらずベンチャーとしても事業成立が成り立つことをアメリカでは実証されているのだ。理由は環境対応と部品点数(動力部分の)の少なさと言われている。       イラストは日産自動車hpにあるEV専用レーン構想のイメージ。路面には非接触充電や走行中充電の技術がフィードバックされる。今EV関連では三菱自動車と富士重工が話題になっているが、日産は9年前にハイパーミニというEVを200台普及させた。その歴史と技術の積み重ねは注目に値するものだ。 8月2日、日産自動車は満を持して次世代移動体の「明日」を問うEV、「リーフ(葉:なかなかシャレた名前だ)」の概要を発表、来年末の発売を示唆した。日産の横浜新社屋も「新」、クルマの概念も「新」というのも、どこか象徴的な感じがする。 発表会見のゲストも豪華。EV普及の急先鋒である、松沢神奈川県知事は当然としても、数日前に就任中辞任を決めた中田横浜市長は、おそらく決まっていたスケジュールでやむなくという感じ。注目は小泉元総理。神奈川(特に追浜)と日産とは深い縁があるとはいえ政界引退を決めている方。しかしこの人が「脱石油自動車普及の日も近い」と言うと、どこか説得力がある(首相現役時代、燃料電池車の時も同じようなことを言っていたかも。政治家特有のリップサービスかな)。が、もし今でもこの人の政権だったら、EV普及はもっと早まっていたかもしれないことをサラッと匂わせた。
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No.026 バイオがくる! と信じたい
  NEDO実用化開発実験により設置されたラント例(月島機械hpより) 最初から言い訳がましくて恐縮だが、今回の提言はあくまで筆者の「そうなったらいいなぁ・・・」という希望的観測に終始することをお許し願いたい。 もとより、当方機械工学は言うに及ばず、バイオ(ここで言うのはバイオマスエタノールのエネルギー。以下バイオと略す)の基本である化学なんぞ、まったくの門外漢であることもお断りしておく。したがって、ここではバイオが日本国内でどのように進捗しているかの検証を主としたい。 バイオエネルギーは基本的にはサトウキビ、とうもろこし、廃木材などのバイオマス資源を発酵し、蒸留して作られる植物性のエチルアルコールのことで、新たな燃料用エネルギーとして注目される。「バイオエタノール製造施設(プラント。小規模でも製造出来ることも実証されている)」で作られたエタノールは、自動車やボイラー等の燃料としての利用とその範囲が期待される。 さらに、Vol.23でも述べているように、バイオに含まれる炭素は植物の光合成によって固定された大気中の二酸化炭素に由来することから、エタノールの燃焼によって二酸化炭素が大気中に放出されても地表に存在する炭素の総量は変化しないと考えられている。つまり、温暖化対策にも寄与できる可能性は大いに高い。